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第10次粉じん障害防止総合対策の推進について

2023/05/08

厚生労働省通達「第10次粉じん障害防止総合対策の推進について」(令和5年3月30日 基発0330第8号)が出されました。
粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止することを目的として、粉じん障害防止規則の周知徹底及びじん肺法との一体的運用を図るため、これまでの9次に引き続き、粉じんばく露防止対策を推進するため、「第10次粉じん障害防止総合対策」が実施されます。
以下抜粋のとおり、示されました。
 

第10次粉じん障害防止総合対策

第1 目的
本総合対策は、じん肺新規有所見労働者の発生状況、9次にわたる粉じん障害防止対策の推進状況等を踏まえ、当該対策の重点事項及び労働基準行政が実施する事項を定めるとともに、労働者の安全と健康を守るため、事業者が講じなければならない措置等のうち、重点事項に基づき今後5年間において事業者が特に実施すべき措置を、「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」(以下「講ずべき措置」という。)として示す。その上で、その周知及び当該措置の実施の徹底等を図ることにより、事業者に対して、粉じん障害防止規則(昭和 54 年労働省令第 18 号。以下「粉じん則」という。)及びじん肺法(昭和 35 年法律第 30 号)の各規定に定める措置のほか、より防護係数の高い呼吸用保護具の使用等といった粉じんによる健康障害を防止するための自主的な取組を適切に実施することを促し、もって粉じん障害防止対策のより一層の推進を図ることを目的とする。
 
第2 総合対策の推進期間
令和5年度から令和9年度までの5か年とする。
 
第3 総合対策の重点事項
業種や職種を問わず、粉じんばく露の防止に効果的な対策である呼吸用保護具の適正な選択と使用の徹底並びに粉じんの有害性と対策の必要性について周知及び指導等を、業種や職種を問わず実施する必要がある。特に、作業環境測定の評価結果が第三管理区分に区分され、その改善が困難な場合は、個人サンプリング法等による濃度測定結果に基づく有効な呼吸用保護具の使用が義務化され、令和6年4月から施行されるところであり、その定着に取り組む必要がある。
また、令和3年4月から施行されたずい道内の粉じん濃度の測定結果を踏まえた有効な電動ファン付き呼吸用保護具の使用も含め、引き続きずい道等建設工事に係る粉じん障害防止対策に取り組む必要がある。
このほか、地域の実情をみると、引き続き、アーク溶接作業や岩石等の裁断等の作業、金属等の研磨作業、屋外における岩石・鉱物の研磨作業又はばり取り作業及び屋外における鉱物等の破砕作業に係る粉じん障害防止対策等の推進を図る必要がある都道府県労働局(以下「局」という。)もみられることから、下記4つの重点事項に加え、管内のじん肺新規有所見労働者の発生状況、これまでの局の総合対策の推進状況等に応じて、上記以外の粉じん障害防止対策を推進する必要がある。
上記を踏まえ、次の事項を重点事項とする。
  1. 呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底
  2. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
  3. じん肺健康診断の着実な実施
  4. 離職後の健康管理の推進
  5. その他地域の実情に即した事項
 
第4 労働基準行政の実施事項
1 局及び労働基準監督署の実施事項
  1. 電動ファン付き呼吸用保護具の着用
    電動ファン付き呼吸用保護具は、粉じん則等において、特定の作業に労働者を従事させる場合に着用させることが義務付けられているが、その性能の高さから、当該特定の作業以外においても、これを活用することが望ましいことに鑑み、上記(2)及び(3)の指導・審査時等において、事業者に対して電動ファン付き呼吸用保護具の着用について勧奨する。電動ファン付き呼吸用保護具の選択及び使用に当たっては、電気機械器具の一種であることに鑑み、現場の状況に応じ電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)に適合した電動ファン付き呼吸用保護具の選択及び使用を要請する。
    なお、ずい道等建設工事においては、要求防護係数に基づく有効な電動ファン付き呼吸用保護具の使用及び作業主任者の職務について、必要な指導を行う。
  2. 関係団体等に対する指導等の実施
    イ 粉じん障害防止総合対策推進強化月間等を通じた啓発活動の実施
    1. 粉じん対策の日
      粉じん作業を有する事業場に対し、呼吸用保護具の点検、局所排気装置等の点検、たい積粉じん除去のための清掃等を定期的に実施させ、その定着を図るため、毎月特定の日を「粉じん対策の日」として設定するよう指導する。
2 本省の実施事項
  1. 事業者団体等に対する要請の実施
    令和4年5月の労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第 91 号)による改正において、作業環境測定の評価結果が第三管理区分に区分され、その改善が困難な場所では、厚生労働大臣の定めるところにより、濃度を測定し、その結果に応じて、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることや当該呼吸用保護具に係るフィットテストを実施すること等が義務化された(令和6年4月1日施行)ところであり、これらの改正内容の関係団体等への周知等を図る。

粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置

第2 具体的実施事項
1 呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底

事業者は、粉じんの有害性を十分に認識し、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるため、次の措置を講じること。

  1. 電動ファン付き呼吸用保護具の使用
    電動ファン付き呼吸用保護具は、防じんマスクを使用する場合と比べて、一般的に防護係数が高く身体負荷が軽減されるなどの観点から、より有効な健康障害防止措置であり、じん肺法第 20 条の3の規定により粉じんにさらされる程度を低減させるための措置の一つとして使用すること。
    なお、電動ファン付き呼吸用保護具を使用する際には、取扱説明書に基づき動作確認等を確実に行うこと。
  2. 改正省令に関する対応
    令和4年5月の労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第 91 号)による改正において、第三管理区分に区分された場所で、かつ、作業環境測定の評価結果が第三管理区分に区分され、その改善が困難な場所では、厚生労働大臣の定めるところにより、濃度を測定し、その結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること、当該呼吸用保護具に係るフィットテストを実施することが義務付けられた(令和6年4月1日施行)ことから、これらの改正内容に基づき適切な呼吸用保護具の着用等を行うこと。
2 ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
  1. ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインに基づく対策の徹底
    特に、次の作業において、労働者に使用させなければならない呼吸用保護具は電動ファン付き呼吸用保護具に限られ、切羽に近接する場所の空気中の粉じん濃度等に応じて、有効なものとする必要があることに留意すること。
    また、その使用に当たっては、粉じん作業中にファンが有効に作動することが必要であるため、予備電池の用意や休憩室での充電設備の備え付け等を行うこと。
    1. 動力を用いて鉱物等を掘削する場所における作業
    2. 動力を用いて鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業
    3. コンクリート等を吹き付ける場所における作業